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浄土真宗における正しいお仏壇でのお仏飯の作法・盛り方などを紹介

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こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。

仏様へのお飾りには重要なことが4点あります。

お花をあげる献花(供華)、お光を灯す献灯(点燭)、お香を焚く献香(供香)、そしてお供え物をお飾りすることです。

お供え物の種類には一つにはお供物としてお餅やお菓子や果物、乾物などがあり、正式には供物台に盛ってお飾りします。

もう一つにお仏飯(ぶっぱん)と呼ばれるお飾りがあります。

今回のテーマはお仏飯の盛り方・お飾りの仕方であり、仏様の目の前にお飾りする非常に大事な荘厳です。ちなみにお仏飯をお供えすることを供飯(ぐはん)とも言います。

真宗御本尊。御仏飯のお飾り。

お仏飯器への盛り方2種類の使い分け方。

当たり前っちゃあ当たり前ですが、仏様にお仏飯をお飾りするには専用の器を使いましょう。

お仏壇サイズでしたら1000円から高くても5000円まででしょう。お茶碗に盛ってもいいですが、仏様にお飾りする器を人が食事に使うお椀に入れるのは良くないと思いませんか。サランラップや紙の上に盛るのももちろんよろしくないですよ。

仏飯器は仏様へお飾りする仏具ですので、お仏壇の雰囲気を壊さないものを用意してください。

さて本題へ。一般的にお仏飯の盛り方には2種類あります。

蓮実形(れんじつけい)蓮莟形(れんがんけい)です。

難しそうな言葉ですが、前者は蓮(はす)の実の形を表現した盛り方で、後者は蓮の莟(つぼみ)を表現した盛り方です。莟(がん)は蕾(らい・つぼみ)とほぼ同じ意味です。

じつはですが、同じ浄土真宗という宗旨であっても宗派ごとにお仏飯の盛る形が異なっているのです。

本願寺派(本願寺)と大谷派(真宗本廟)でも違いますし、もちろん仏光寺派(仏光寺)や高田派(専修寺)でも異なっています。

これら上の真宗宗派は蓮実形・蓮莟形のどちらかワンパターンの盛り方をします。

私は真宗興正派(本山:興正寺)のお坊さんですが、真宗興正派は蓮実形と蓮莟形の両方の盛り方を使い分けています。

  蓮実形(円柱形) 蓮莟形(山なり形)
 見た目 蓮実形の絵。書いてみた。 蓮莟形の絵。書いてみた。
採用宗派 大谷派(通称:お東)
仏光寺派
興正派
本願寺派(通称:お西)
高田派
興正派

仏飯器の盛り方というのは宗派によって作法として決められているので、こうだと覚えなくてはなりません。大谷派・仏光寺派なら蓮の実の形、本願寺派・高田派なら蓮の莟の形だと。

ただ注意しなければならないのが、伝統教団である真宗宗派の中で4番目の末寺数がある真宗興正派では、蓮実形と蓮莟形の両方を使います。

真宗興正派は蓮実形と蓮莟形をどちらも使う。使い分け方。

真宗興正派のお仏飯の盛り方というのは仏飯器のデザインによって使い分けられます。(仏飯器の価値や置き場によって変わるんじゃないんですよ)

  • 蓮実形は、仏飯器に蓮華(れんげ)が掘られていたり描かれている場合に。
  • 蓮莟形は、仏飯器に蓮華が掘られておらず、シンプルなデザインの場合に。

お仏飯の盛り方。

お仏飯には蓮実形と蓮莟形があることを紹介しました。

蓮実形とは円柱形のお仏飯の盛り方です。円柱形にお仏飯を盛るのは結構難しく、それ専用の盛槽(もっそう)という道具があります。槽(そう)とは円形状の水や穀物などを入れるための容器のことです。

お仏飯を盛るための道具、盛槽(もっそう)

お仏飯、蓮実形の盛り例。

盛槽の筒の中に焚いた白米を注ぎ、押し寿司のように上部から押しだします。コツとしては盛槽の中に注ぐ白米の量をケチらず多めに入れることです。少量しか入れないと、隙間ができ、崩れやすくなります。

盛槽には仏飯器にあったサイズがありますので、仏壇屋に行けば求めることができます。

蓮莟形とは蓮実形の上部を丸くお椀型にすればオーケーなのです。ですので蓮莟形も盛槽があれば簡単に作ることができます。

ただ盛槽を購入するのが面倒な人はおちょこなどの盃・コップを利用することも可能です。

そのときも容器内を水で軽く濡らし、少し多めの白米を入れて固めるように形作れば、押し出しやすく崩れにくくなります。

おちょこ、お仏飯を盛る時の便利道具。

蓮莟形のお仏飯の盛り付け例。

蓮莟形のお仏飯は先端が丸くドーム状になっている盛り方ですが、実際にはお寺でも下の方から丸みを帯びてドーム状に盛っています

慈光寺継職法要のお仏飯

現実的な蓮莟形お仏飯

実際に多くの場合で盛られている蓮莟形の盛りつけ方。

お仏飯盛り付け時の小技。

一般家庭では仏飯器に直接、焚いた白米を盛り付ける人が多いと思います。

しかし仏飯器は真鍮製であったり、金メッキなどであり、洗うのに抵抗があると思います。

そんな時には発泡スチロールと木の板を使います。

お仏飯を盛る用の木の板。

発泡スチロールもお仏飯器にセット。

仏飯器の大きさにあった木の板を用意し、そこにお仏飯を盛りつけます。また仏飯器には底上げするための発泡スチロールをセットしておきます。

こうするといちいち仏飯器を下ろさなくてもお仏飯を盛った板を回収すればよく、また木の板は洗い、乾かすことで何度でも使い続けることができます。

お仏飯を木の板に盛った様子。

お仏飯を盛った様子。

難点としましてはお仏飯を盛った仏飯器を運ぶとき、グラグラと揺れて不安定になることですが。

蓮実形と蓮莟形の覚え方。

さてまとめますと、円柱形に盛る蓮の実を模したお仏飯は、興正派では仏飯器に蓮のデザインが施されているときに。もしくは大谷派・仏光寺派の真宗宗派。

先端をドーム状に丸みを帯びて盛る蓮の莟を模したお仏飯は、興正派では仏飯器に蓮の装飾が施されていないときに。もしくは本願寺派・高田派の真宗宗派。

覚え方は非常に単純で、毎日お仏飯を飾っていたら自然と覚えます。

家の宗派がコロコロ変わることもありませんし、家にある仏飯器もいつも同じでしょ。だったら毎日お供えしていたら自然と覚えますよ。


もしくはストーリーを作って覚えることですね。

蓮の実とは蓮の花が咲いた後の姿ですよね。だから仏飯器をしたから見て、蓮の茎が伸び、花が咲き(蓮がデザインされ)、その上には蓮の実があるのだと。

蓮莟形はまだ花が咲く前だから、仏飯器を下から見て、蓮の茎が伸び、その上に、今まさに咲こうとしている蓮の蕾があるのだと連想することです。

仏飯器を下から見て物語を想像すると、何となしに覚えるものです。

お仏飯のお飾りの仕方。

お仏飯の仏様へのお飾りの仕方はひょっとすると同じ浄土真宗でも宗派ごとに違いがあるかもしれません。

ですので、ここでは真宗興正派を例に挙げてみます。(おそらくほとんど同じです)

  • お仏飯は朝(午前中)にお供えし、昼までに下げます。
  • 仏事(法事や法要)の時には午前中でなくても、お仏飯をお飾りする。
  • 口のついた仏様や高僧の前にお飾りする。
  • 位牌や過去帳、または故人の写真にはお飾りしない。

お仏飯とは午前中にご仏前にお飾りをし、昼までには下げます。

これはお釈迦様の時代には食事をするのが午前中の一度だけであり、午後は食事の時間ではなかったとされ、その名残りで昼までには下げることとなったそうです。ただお仏飯とは仏様や故人が食べるため食事としてお飾りしているのではなく、いのちへの感謝のこころとしてお飾りしているので、仏事の時には昼であってもお供えします。

そして大切なこととして、お仏飯のお飾りとは仏様へのお給仕だということです。浄土真宗ではお位牌や過去帳または故人写真にはお仏飯をお供えしません。

そして最後にお飾りする場所についてです。(これが結構わかりにくいようです。ルールは単純なのですが。)

  • 口がついてある仏様もしくは高僧の前にお飾りすること。
  • 仏様でもご本尊でも、口が無ければお飾りしない。
  • 口がたくさんある場合でも、一か所につき仏飯器は一つが原則。

口が有る無しとは別の言い方をすれば、顔があるかないかということです。

例えば浄土真宗では阿弥陀如来がご本尊です。

阿弥陀如来のおまつりの仕方には、仏様の姿が彫られた木像の姿、描かれた絵像の姿、そして文字で表された名号の姿があります。

この中では木像と絵像にはお仏飯がお供えされますが、名号のご本尊にはお仏飯はお供えされません。

名号のご本尊とは「南無阿弥陀仏」の六字名号、「帰命尽十方無碍光如来」・「南無不可思議光如来」の九字・十字名号のことです。

これら名号で表された仏様には口(顔)がないので、お仏飯をお飾りしないことになっています。

真宗御本尊。御仏飯のお飾り。

木像・絵像の仏にはお仏飯を。

真宗の仏様のお飾り。灯り

名号にはお仏飯は飾らない。

高僧とは浄土真宗だと、七高僧と呼ばれるお坊さんたちであったり、歴代のご門主様であったり、宗祖親鸞聖人であったり、聖徳太子のことをさします。これらのお姿を現した掛け軸もしくは彫り物の前にはお仏飯をお飾りすることになっています。

ただ注意事項として、お仏飯とは原則一幅の掛け軸に対して、仏飯器をひとつだけお飾りします。

例えば、七人のお坊さんが描かれた掛け軸があったとしてもお仏飯は一つお供えします。七つも仏飯器を用意する必要はありません。

七高僧へのお仏飯飾り。

聖徳太子へのお仏飯飾り


そして最後に、実は浄土真宗の寺院では木像・絵像のご本尊阿弥陀様には仏飯器を二つお飾りしています。これを説明すると混乱される方もいると思いますので、別記事にて紹介しています。詳しくはこちらを「真宗の御本尊には御仏飯を2つ(1対)供えるのを知っていますか

ただ一般家庭のお仏壇ではお寺の内陣よりもコンパクトなため、ご本尊にお仏飯を二つお飾りするのは現実的ではありません。ですので浄土真宗のご本尊阿弥陀さまであっても、お仏壇のご本尊にはお仏飯一つでも何も問題ではありません。

さいごに。お仏飯のあれこれ。

お仏飯とは仏様へのお供え物です。

仏壇にお参りする前に行う作法です。

なぜお仏飯をするかというと、上で説明したように、いのちへの感謝を表すためです。仏様が召し上がるため、先祖が食べるためではありません。

「信は荘厳(しょうごん)より起きる」という言葉があります。

毎日毎日お仏飯を仏様にお供えするのは大変だなあと思うでしょう。でもそれが肝心なのです。

面倒だなあと思うのは当然なのですが、真宗では仏様にお供えすることをお給仕させていただくといいます。枯れてきたお花を入れ替えるのもそう、短くなったお蝋燭を入れ替えるのもそう。お香を参るたびに焚くのもそう。作法を一つ一つこなしていくのは大変だけれども、綺麗に正しくお飾りできたお仏壇の様子は非常に厳かになり、またお給仕をすることで自ずと仏様に参る機会となります。

最近ではお仏飯を法事があってもお飾りしない家、食品サンプルのように腐らずにいつまでも仏飯器に盛ったままの家も見受けられます。

これらは仏様のお給仕を放棄し楽をしているのですが、このようなことをしている人というのは、仏様参りがだんだんと疎かになっていきます。それじゃあダメなんですよ。

繰り返し言いますが、お仏飯とは仏様にお参りするときのお飾り、供飯をするということです。

本当は白米がよろしいとされていますが、パンや麺類を食べる機会も非常に多くなり、白米を用意できないこともあるでしょう。

ただお供えをするという心が大切であり、また下ろしたお仏飯とは仏様からのいただきもの(お下がり)としてありがたく頂きます。

食べ物を感謝することだけでなく、自分がここにお参りできたことへの感謝、今いる感謝、このお米を仏様にお飾りできた感謝など、あらゆるいのち・恵みへの感謝であり、それを感じさせていただく・考えさせていただく時間となるのです。

仏様に参るための作法としてのお仏飯ですから、焚いた白米が用意できない場合に無理をして用意する必要はありません。食生活も変化し人それぞれのスタイルがあるのですから。

正しく仏様にお飾りするのは感謝の気持ちを忘れないためでもあります。お仏飯を用意できなかった場合は、申し訳なかったなあと思いながら仏様参りをすればよいのです。


さいごに一言。

あんまり作法作法と言っていたら堅苦しくて、面倒だ、や~めたと思われそうなので、今回はここまで。

他宗ではよく見られるのですが、浄土真宗ではお仏飯をお供えするときにはお水やお茶をお供えしません。

お仏壇でもお寺でもお水をお飾りすることはありません。よく一般家庭のお仏壇にはお仏飯とお水入れもしくは茶湯器が並べてお飾りされていますが、浄土真宗では全く不要のものです。

その理由についてはまた別の機会に紹介しますね。

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