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第240回目のラジオ配信。「ため池の上の太陽光パネル」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいるお坊さん、私かっけいの音声配信です。
先週に続いて、今週も水にまつわるお話をしていきます。
今回はため池の上に設置されるようになった太陽光パネルの話です。
香川県は災害の少ない土地といわれていますよね。香川に住んでいる私も、香川は台風も少ないし、雪も降らないし、大きな地震もないし、自然災害の少ないところだなあと感じます。
災害が少ない一方で、香川県は雨が少ないです。
だから香川では昔からため池が作られてきました。
ため池の数は兵庫県、広島県に続いて、三番目ですが、それでも1万以上のため池があります。
面積に占める割合だと香川県が最も多く、1平方キロメートルの中に、平均して6個くらいのため池があるそうです。
また香川県には満濃池という日本一大きなため池もあります。この池はおよそ1300年前に作られたため池で、弘法大師空海などによって、何度も修復されて現代も使われ続けています。
そんな風に香川の人にとって、ため池は大切な存在です。
ただ最近では、農業をする人も減り、ため池の数が減ってきたり、管理の行き届いていない荒れたため池も見えるようになってきました。
それでも水の少ない香川にとって、ため池の水は貴重ですし、たくさんの鳥がやってきたりと多種多様な生き物や植物が生育する場所です。
農業をする人が減っても、まだまだ、ため池は香川の人にとって大切な存在です。
お坊さんの私も、法事とかでご門徒さんと雑談すると、ため池の話になることもあります。
それでこの前、ため池の上に太陽光パネルが新しく設置されたという話を聞きました。
5年や10年前には聞かなかった話で、ここ1,2年で急にそんな話が出たそうです。
ため池は農業用の水なので、太陽光パネルを設置するのに反対するところもありますが、私のお寺の近くでも、何カ所かは池の上に太陽光パネルを既に設置しています。
設置したばかりの今は、池も整備されて綺麗な状態で、まだ悪い評判は聞きませんが、実際のところはどうなんでしょうかね。
私も実際にため池に設置された太陽光パネルを見に行ってきました。
池の上に杭をたてて太陽光パネルを設置しているのではなく、浮き輪のようなもので水面に浮かしているようでした。
池の中だと草が生えないから管理が楽だし、光を遮るものがなく、水の上にあるのでパネルの熱も下げてくれるから、発電効率は良いそうです。
一方で気になることもいろいろあります。
例えば、香川のため池は冬になると、水が枯れきってため池が干上がったりするんですが、浮かしている太陽光パネルは水がなくなっても大丈夫なんでしょうかね?
それと池の水の中には草が生えなくても、池を囲う堤防には草がびっしり生えたりします。管理の行き届いていないため池も多く、時期によっては堤防の上を歩くのも困難なことがありますが、そういったとき、水の上の太陽光パネルはメンテナンスできるのでしょうか?
また水の上、全面ではないですが、太陽光パネルが水面を覆い隠しています。
ため池にはため池の中に生える植物や藻もあります。水の中の生き物はどうなのでしょうか?また鳥たちもやってきます。渡り鳥の休憩ポイントだったりと、ため池に太陽光パネルを設置するのは生き物の環境にとってもどうなのかなあと思うところです。
もちろん香川県にはため池が1万以上もあって、ため池は山のようにあります。
太陽光パネルが設置されているため池はごくごく少数なので、全体から見ると、そんなに環境を気にする必要はないのかもしれません。
あともう一点気になる点を言えば、香川県のため池はだいぶ老朽化しているそうです。メンテナンスが必要なため池が多いらしく、もし太陽光パネルがあった場合、お互いに干渉しあわないかなあと心配します。
最近、近くのため池で、太陽光パネルが設置されるようになってきたので、今回は、池の上の太陽光パネルについての話をしてみました。
まだご門徒さんと話しても、ため池に太陽光パネルを設置するのに否定的な水利も多くあるようです。
ため池の本来の用途は、農業用の水の確保なので、なかなか受け入れにくいのだと思います。
ただ、香川県はため池の割合が日本一多い場所なので、もしもお互いにうまくやっていけるなら、土地の有効活用になるでしょうね。
太陽光発電もいいことばかりだけではないと思うので、ため池に太陽光パネルを設置するのが、そううまく進んでいくのかは分かりませんが。
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