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年末のおすす払いについて.ラジオ#116

第116回目のラジオ配信。「おすす払い」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「おすす払い」のまとめ
  • 毎年12月20日に、西本願寺と東本願寺ではすす払いが行われる
  • すす払いとは、一年間にたまった埃・煤を掃除すること
  • 元々は、すす払いの後で、しめ縄や門松といった新しい年をむかえる準備をする
  • すす払いというけども、本当に払うのは「煤」ではなく「埃・垢・膿」ではないだろうか
  • 寺のおすす払いは、お磨きの仏具掃除とセット
  • 香川では仏壇仏具のお磨きのことを「おすす抜き」という

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川に住む浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをするラジオです。

12月21日の今回は「おすす払い」について、ちょっと雑談します。

ご存知でない方も多いでしょうが、12月20日は西本願寺と東本願寺で、毎年恒例の「すす払い」があります。もちろん西東の両本願寺でなくても、この12月には全国各地の寺社仏閣などで、すす払いの行事があります。

すす払いというのは、簡単に言えば、年末の大掃除です。

一般的な会社は12月28日ごろに仕事納めになると思いますので、おそらく多くの人にとって年末の大掃除といえば、12月29日から大晦日にかけてするんでしょうが、昔からあるすす払いはちょっと違うんですね。

すす払いというのは建物の内外の掃除をして、今年一年の厄を払って、新しい年をむかえようとする行事です。こうしてすす払いをした後で、しめ縄や門松といった新しい年をむかえる準備をするといった、どっちかというと仏教よりも神道的なイベントです。

昔はまずは神社やお寺に行って、すす払いをします。その後に勤め先のところをすす払いします。そして奉公人・勤め人は里帰りして、家のすす払いをします。

そんな風に一日ではすす払いは終わらないので、12月の13日から、そうですね、12月の残り一週に入る24日頃くらいまでに終えていたいですね。

これが「おすす払い」の行事の簡単な説明です。

さて、私は前々から疑問に感じているんですが、そもそもですがどうして「すす」払いなんでしょうか。すすではなくて、「埃」ではないでしょうか、いや「垢」を払った方がいいのではないでしょうか、いやみしろ「膿」こそ払わなければならないのではでしょうか。

かつての家々は家の中に囲炉裏があり、御飯を焚き、お風呂を沸かす窯がありました。油や煙で建物の中、周りは煤でいっぱいです。

また寺や仏壇という空間はお香の煙や、ロウソクの蝋や油などで、煤が付着します。

そういう意味ではすす払いという表現は正しいような気がしますが、実際、今現代において、煤はどれくらい付着してるのでしょうか。

煤があまり付着していなさそうな屋外に設置されている寺の大鐘、またお城の天守などなど、そこに煤はないんじゃないの?と思われるところまで、すす払いをしています。

もちろんイベントとして行われるすす払いというのは、竹の先に笹の葉をつけて軽くポンポンと触っているようなもので、とうてい汚れが落ちているような感じはしません。

すす払いというのは汚れを落とすためというよりかは、心身を清めるといった意味の方が強いです。

しかし払い落とすのは、本当にすすなんでしょうか?私は疑問に思います。

すすというのは黒い汚れです。しかしすすは仏様にお供えしたことや、暖をとったり御飯をたいたり風呂を沸かしたりと、お参りの中で生活の中で自然とついてくるものです。

私は煤を払うよりも、目には見えにくいけども周りから徐々に自然とたまってくる埃を払うべきだと思います。

もっといえば、外からよりも私の内側より出てくる垢や膿こそ、払っていくものだと思います。

なんでもかんでも「すす払い」という言い方をしますが、私は自然とたまってくる埃や、内から生じて出てくる垢や、内から生じて悪さをする膿こそ払っていった方がよろしいのではないかと思います。

かっけいのラジオはここで終了します。来週もまた聞いてくださいな。

ポッドキャストでも配信していますので、iTunesなどのアプリで「レビュー・評価・登録」してくれたら嬉しいです。

さて偉そうにすす払いの雑談をしましたが、じゃあ私は「おすす」を払えているのかと言えば、そんなことはありません。寺で生まれておきながら反省するべきことですが、私は「お磨き」というのも満足にできていません。

寺の「すす払い」と「お磨き」はある意味セットで行われるものです。

すす払いとはどっちかというと心身を清めるといった儀礼的なところで、お磨きというのは仏壇や仏具を磨いたり拭いたりするといった本格的な掃除のことです。

皆さまも、お磨きはされていますか?

長くお磨きをされていないと、もう掃除の仕方を忘れているかもしれませんね。

最後のお話の締めくくりに、仏壇・仏具の掃除のポイントを紹介します。

仏壇仏具は大きく分けて、金属部分・漆部分・金箔部分に別れます。

なんでもかんでも濡れた雑巾や、化学雑巾で拭こうとするのはよくある大失敗です。仏壇仏具は、濡れた雑巾や化学雑巾は使いません。

金属類、例えば花瓶や輪灯の仏具は、手の油や水気がつくと汚れ・錆の原因になります。ですので手袋をして、仏壇屋さんで売られている専用の仏具磨きや真鍮磨きで磨きます。そして最後に乾いた布巾で軽くふき取ります。

漆部分は特に何もつけずに、やわらかい布巾でふき取るだけです。

金箔や彫り物といった繊細な部分は、毛ばたきのような道具で本当に軽くなでるように、それこそすす払いの行事ようにかるくポンポンと叩くだけです。

ポイントだけを聞くと大したことはないですが、久しぶりに掃除をするとうっかりと濡れた雑巾をつかったりして、もう無残な状況になってしまいがちです。

ちなみに香川県では、仏壇の掃除・クリーニングのことを「おすす抜き」という表現をします。

おすす払いとおすす抜き。とっても表現似ていますね。

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すす払いの意味

すす払いとは

すす払いとは1年に1度、12月に煤を払い、内外の掃除をすること。一般的に12月13日に行われる。

すす払いの意味

すす払いの始まりは、平安時代の宮中行事とされる。

単に建物の汚れ・煤を掃除するというだけでなく、厄払いの意味が込められていたそうです。

現在は一年最後の大掃除という認識となっているが、元々の意味はすすと一緒に一年の厄を払い、心身清らかになった状態で門松やしめ縄などと、新しい年を迎える意味がある。

参考動画。東本願寺のすす払い
「おすす払い」京都・東本願寺(SankeiNewsより)

12月20日の西本願寺や東本願寺の「おすす払い」では、全国から来られた大勢の門信徒が奉仕団としてお掃除されます。

本堂外陣を一列に並び、一斉に竹の棒で畳を打って埃を出し、後ろから大きなうちわで、お堂の外に出します。

東本願寺のお煤払い(2020年)(真宗大谷派東本願寺【公式】より)
漆部分の磨き

ラジオでもお話したように、仏壇仏具のお磨きでは、「金属部分・漆部分・金箔部分」の3つに大きく分かれます。いずれの場所も濡れた雑巾は使いません。化学布巾も使いません。

金箔は毛はたきのような柔らかなはたきで、「ポンポン」とはたかないと、金箔部分が剥がれてしまいます。

花瓶やロウソクの燭台といった真鍮製仏具は、仏壇店で売られている専用の真鍮磨きで磨くと、輝きを取り戻します。

ラジオでは何もつけずに柔らかい布巾でふき取るだけと言いましたが、実は『ピカール』といった専用の仏壇クリーナーを使って磨くと、鏡のような光沢を取り戻します。

ずっと前に書いたブログ記事があるので、参考になれば幸いです。

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