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四華花-葬儀での紙の飾り.ラジオ#111

第111回目のラジオ配信。「四華花・紙華花」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

仏教葬儀の時に祭壇にお飾りする白い紙のお花。四華花・紙華花「しかばな」という。
ラジオテーマ「四華花・紙華花」の内容まとめ
  • 葬儀で飾られる白色(銀)の紙のお飾りは「四華花・紙華花」
  • 読み方は「しかばな」
  • お釈迦様が亡くなったときに沙羅双樹が白くなったことが由来
  • 浄土真宗でもお飾りする
  • 故人の成仏を願うためではない
  • お飾りする意味は、亡き人をお釈迦様と同じように讃えて偲ぶ

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川県に住む浄土真宗のお坊さん、私かっけいが短いおしゃべりをするラジオです。

今回は「葬儀の時にお供えする紙製の花」についてお話します。

葬儀では普段とは違ったお飾りの仕方がされます。最近は葬儀社がお飾りをすることが多いので、葬儀にお参りされる人はそのお飾り一つひとつの意味をご存知でなかったりします。

先日、葬儀の後の2週間ほどたった中陰のお参りをしているときに、遺族から銀色の紙で作られたお飾りについてご質問を受けました。

見た目は動物の尻尾のようにも見えますし、毛ばたきにも見えるようなものです。ご遺体を棺に安置している葬儀の時から、ロウソクやお供物や生花などと一緒にお飾りされているのですが、何という名称か分からないから質問することができなかったそうです。

さてさっさく、この銀色の紙製で作られた毛ばたきにも見えるお飾りの名称をお答えします。

このお飾りは「四華花・紙華花(しかばな)」と言います。漢字では、数字の四と華やかな花、あるいは紙の華やかな花の2通りの書き方があります。

つまりこれはお花のお飾りということです。

続けて、この「四華花・紙華花(しかばな)」がどんな意味があって、葬儀の時に棺の近くにお供えされているのかお話します。

その前にちょっと余談で、ふだん見慣れないこの仏教葬儀で使われる四華花は、遠くから見ると神道で使う紙製の「紙垂(しで)」や「幣束(へいそく)」に見えるようです。紙垂や幣束は神棚や床の間に置かれていたりしますよね。よく見ると形は全く違うんですが、葬儀のとき遠くからちらっと見ただけだと、同じように見えるのかもしれません。

神道で使われる紙垂や幣束は神様への捧げ物やお払いの道具です。一方で、仏教の葬儀で使われる四華花は全く別の意味を持ちます。

四華花は仏教をひらかれたお釈迦様、お釈迦如来が亡くなられた時の様子を表しているものです。

インドのクシナガラにてお釈迦如来は、沙羅双樹の樹の間にて頭を北に顔を西向けて横になります。お釈迦如来が亡くなられる時には、弟子たちだけでなく様々な動物も集まり、その死をひどく悲しんだとされます。さらには常緑である沙羅双樹の樹も悲しみのあまり、真っ白に枯れてしまったような姿に変わったとされます。

そのようないわれがあって、仏教葬儀ではお釈迦如来が亡くなられた時にならって、植物も悲しみのあまりその鮮やかな色を失ったことを表わす四華花をお供えするようになったとされます。

紙の華やかな花という漢字を使うのは、お釈迦如来のように、白く色を失った沙羅双樹をお供えすることが難しいので、紙で代用してその沙羅双樹を表現しています。

また数字の四の四華花の由来は、沙羅双樹の本数を表しているとされます。

沙羅双樹の名前は、沙羅の樹の枝が二股に分かれていることから沙羅双樹とよばれます。つまり沙羅の樹の間にて亡くなられたお釈迦如来に対して、2つの沙羅の樹はその二股に別れた双樹の4本の幹を白く変色したというお話です。

またもう一つ他に、お釈迦如来が亡くなられた周りには沙羅双樹が四方にあったというお話もあります。後世のお釈迦如来が亡くなられた時の様子を描いた涅槃図では、沙羅双樹が四方にある様子で描かれることが多い印象で、このことから沙羅双樹が四方を囲んでいるので、数字の四の四華花と書いたりします。

2つの沙羅の樹の二股に別れた双樹の四本の幹と、お釈迦如来を囲む四方の沙羅双樹の二つのお話があります。

このようなお話があって、四華花をお供えする時は、四本で一セットというようになっているようです。

最後に、四華花は浄土真宗でもお飾りするのかというお話をします。

はい。浄土真宗も他の仏教宗派と同じように葬儀でお飾りします。

ご存知の人も多いでしょうが、浄土真宗は迷信にとらわれない教えです。ですので、友引のような日の善し悪し、守り刀、清めの塩、逆さ屏風、魔除けの札、旅装束、六文銭、茶碗を割るなどなど、浄土真宗ではいっさい必要としません。

四華花の紙のお花のお供えは、亡き人が成仏することを願ってする物ではありません。

四華花はお釈迦如来が亡くなられたときのお涅槃の時の様子を表したお花のお供えであり、いわばお釈迦如来の涅槃を慕って、縁ある亡き人を如来と同じように讃え偲んでいます。

それは亡き人の頭を、お釈迦如来の頭北面西の姿になぞらえて、北に向けるのと同じように、浄土真宗では亡くなった人をお釈迦様と同じように尊いお方、仏として弔っているのです。

ですので、浄土真宗でも他の仏教宗派と同じように四華花をお飾りいたします。

2021年11月16日は「葬儀の時にお供えする紙製の花。四華花」について雑談しました。

かっけいの円龍ラジオはポッドキャストでも配信していますので、「レビュー・評価・登録」してくれたら嬉しいです。

今回のお話は2020年7月28日に配信した50回目のラジオ「北枕」にも関連すると思うので、よろしければそちらもお聞きくださいませ。

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四華花・紙華花について

由来

由来

仏教をひらかれたお釈迦様は、インドのクシナガラで亡くなります(涅槃)。

沙羅双樹の樹の間に頭を北に顔を西向けて横になります。周りにいた大勢の弟子や動物や天人などはお釈迦様が亡くなったことをひどく悲しみます。

また沙羅双樹の樹も真っ白となり、まるで枯れたような見た目となりました。

そのような伝説をもとにして、仏教の葬儀ではお釈迦様の涅槃の様子にならって、紙で作った白い沙羅双樹の花のお供えをします。

四華花というのは、お釈迦様の四方を沙羅双樹が囲っていたということが由来になります。

浄土真宗での扱い

浄土真宗

亡くなった人の冥福や成仏を祈るために飾らない。

浄土宗の開祖法然や浄土真宗の開祖親鸞が、お釈迦様の涅槃の様子にならって頭北面西右脇のすがたで亡くなったように、四華花のお飾りはお釈迦様の涅槃の様子をならったもの。

亡くなった人はお釈迦様のように尊く、その死がとても悲しいものだということを表している。

だから浄土真宗でも四華花・紙華花をお飾りする。

いつまで飾るのか

いつまで

四華花はお釈迦様が亡くなったときに、沙羅双樹が白く変化したことが由来となっています。

ですので、浄土真宗の場合、枕経・通夜・葬儀のときにお飾りする。

火葬しお骨となったあとの中陰期間は、お飾りしなくてもよい。お飾りするのは長くても100か日まで。

作り方

作り方

四華花の色・形は宗派や地域によって異なるでしょう。

ここでは、長崎県にある安養寺(浄土真宗本願寺派)が紹介しているウェブサイトをリンクします。『紙華の作り方(安養寺.com)』

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