猿は牛や虎よりも強い?ラジオ#89

第89回目のラジオ配信。「サルVSウシ・トラ」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「サル」の内容まとめ
  • 牛の角と虎の牙が鬼をイメージ
  • 丑寅(ウシトラ)の北東が鬼の通り道「鬼門」
  • 十二支ではウシトラの真逆が申(サル)
  • 鬼門に猿の像が置かれることも
  • サルは鬼を追い払う・去ると信じられている

今回はタイトルにありますように、サルが牛や虎よりも強いのか?ということを雑談していきます。

おそらくですが、一般的な認識だと牛や虎の方がサルよりも体が大きいので強いと思うでしょう。でも今回こんな話をしているのだから、察しの良い人は、きっと猿の方が強いという話を私がこれからするんだろなあと感づいていると思います。

話は少し変わって、私の住む香川県丸亀市には丸亀城という現存する日本一小さな木造天守のお城があるんですね。

で丸亀の小学校は、このお城からの方角で小学校の名称がつけられています。

  • 北にあるのが、城北小学校
  • 東にあるのが、城東小学校
  • 南にあるのが、城南小学校
  • 西にあるのが、城西小学校

さらには、

  • 東南の辰の方角にあるのが、城辰小学校
  • 北西の乾の方角にあるのが、城乾小学校
  • 南西の未申の方角にあるのが、城坤小学校

となっています。

で私は子供の時は丸亀の城坤に通っていて、お城の南西の未申(ひつじさる)の方角の学校なんだなあと特に不思議と思っていなかったんですけども、大人になるとふと疑問が出てきたんですね。

どうして「丸亀には北東の丑寅(うしとら)の学校がないんだろうか?」と。

それが今回のお話の発端です。

最近では鬼滅の刃がはやりました。鬼が人を襲う物語です。少し前では約束のネバーランドが大ヒットしましたね。あれも鬼が人を食べる物語です。

今回の私の雑談の猿・牛・虎は、十二支と鬼を絡めたお話です。

皆さんは鬼門という言葉を聞いたことがあると思います。鬼の門と書いて、鬼が出入りする道のことですね。でその鬼門の方角がどこかと言えば、牛と虎の方角の北東となります。

今では鬼門を気にする人もそこまでいないんでしょうが、昔の人はそこに人が出入りする門を設置しなかったり、鬼門を潰すために北東の壁をへこましたり、盛り塩をしたり、あるいは猿の置物を置いたりしたとされますよね。これらは鬼門封じと信じられているものです。

鬼というのは目に見えず恐ろしく怖いものといった正体不明なんですが、とりあえず私たち人間は動物にたとえるなら、牛のように角が生えて、虎のように牙のあるのが鬼だろうと考えたんですね。

ですので牛や虎の方角は鬼の方角として恐れますし、丑の刻の午前1時から午前5時ころは不吉なことが起こるかもとなんとなしに怖がっているようです。

でここからどうして猿が牛や虎より強いとなるかと言えば、猿が鬼門を守って、鬼を追い払う・去ると信じられたからなんですね。

これは鬼がサル(去る)という語呂だけでなく、方角を表す十二支を見るとちょうど真逆の方向の南西方向にいるのが猿だからです。

鬼門の別の出口を携わっているのが、未申の方角の猿なんですね。

十二支というのはネズミの子を先頭にする生き物のことで、北から順番に12時の方向から順番に時計回りしていきます。

  • 子(ね)
  • 丑(うし)
  • 寅(とら)
  • 卯(う)
  • 辰(たつ)
  • 巳(み)
  • 午(うま)
  • 未(ひつじ)
  • 申(さる)
  • 酉(とり)
  • 戌(いぬ)
  • 亥(い)

牛と虎の逆にあるのが猿なので、猿が鬼の出入り口にいれば鬼を追い払ってくれると信じられてるんですね。だから猿は牛や虎よりも強いんです。

ちなみに明治までの天皇のお住まいの京都御所には、鬼門を潰すために鬼の通り道の北東の壁をへこましています。そしてへこますだけでなく、軒下に猿の像を置くことまでしてます。

猿はそれだけ強いんですね。

さて余談ですが、鬼退治と言えば、桃から生まれた桃太郎が有名ですね。

桃太郎伝説は全国色々あって岡山県が特に有名でしょうが、香川県もまた桃太郎伝説のある場所です。

香川県高松市には、鬼が無い場所と書く「鬼無(きなし)」という場所があります。また鬼が住んでいたとされる「女木島(めぎじま)」や、お爺さんおばあさんのお墓、さらには猿・犬・雉のお墓まであります。

そんな風に香川県は鬼退治の桃太郎と縁のある場所なんですが、さて、なぜ鬼退治の生き物が牛と虎の反対にある羊と猿ではなく、猿の続きの鳥と犬なんでしょうか。

私の推測ですが、これは十二支の説話を参考にしているんじゃないかなあと思ってます。

牛と虎の反対にあるのは坤の猿羊ですが、十二支が選ばれる時に神様の元に向かったのは、猿と羊のペアではなく、馬と羊がペアとなって一緒に向かったとされます。

羊は馬よりも速度も遅く力も弱かったけれども馬が励ましてくれたことで、神様の元に一緒にたどり着き、羊は順番を馬にゆずったそうです。

一方で、犬は猿と仲良しで一緒に神様の元に向かいます。

ただし仲がよろしかったからなのか、途中で喧嘩して進めなくなります。そこに追いついてきた鳥が、仲が良いのに喧嘩していた犬とサルを仲裁して、一緒に神様の元に向かいます。犬と猿は良いコンビなんですが、ときに大喧嘩をして争ってしまうので、鳥が間に入り声をかけ、よりまとまりのあるベストなコンビになりました。

ですので鬼門の牛と虎の反対は猿と羊ですが、羊は馬とペアで、猿は犬とそして鳥とペアだということです。

ですから鬼退治では、猿と犬と雉が桃太郎の仲間になるのではないでしょうか。

ちなみに猿のいる「ひつじさる」の方角のことを坤(こん)、犬と鳥のいる「いぬい」の方角のことを乾(けん)といいます。

乾坤一擲という四字熟語は、運命をかける大勝負をすることを意味します。乾坤の猿犬鳥は運命を共にして精一杯、鬼を退治したんでしょうね。

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