使用した感想を最初に言いますと、正座椅子を使用しての読経は、思ったよりもしんどかったです。お坊さんと正座椅子は相性が悪いと感じました。
ちなみに一か月以上、毎日使い続けてでの感想です。しっかりと使ってみて判断しました。
お坊さんは正座での座り方をするのが基本です。
法事などでお参りに行くと、大抵のお坊さんは正座するでしょう。中には腰かける椅子を持参するお坊さんもいますが、まあ私の知る限り、ほとんどのお坊さんは正座をします。
で私のことですが、私は正座ができないわけではありあません。一時間以上のお勤めでも、ずっと座り続けることができます。
それは正座に慣れているということもありますし、痺れにくい座り方を知っているということもあります。仮に痺れてしまっても素早くたって歩くこともできます。
「じゃあ、正座椅子なんて使う必要なんかないじゃないか」と皆さん思うでしょ。
そうです。足が痺れるという理由では使う必要はありません。
今回、私が正座椅子を使ってみたいと思った理由は、正座をしているときの、足の痛み・膝の痛みを和らげたかったからです。
正座による痺れは気にならないのですが、膝を曲げて全体重を足に預けているこの座り方は、長時間すると足が痛くなります。これは痺れからではないです。
11月12月のお坊さんは朝から夕までお参りをして正座しっぱなしです。夕方になると、数分座るだけで足全体が痛くなります。
そこで正座椅子を買ってみました。正座椅子なら正座が楽になると思ったので。
私が買ったのは、折りたたみができるタイプで、三角形・逆台形の正座椅子です。この音声をのせているブログ記事には使用した正座椅子の写真をのせておきます。
このタイプの正座椅子を選んだ理由は4つあります。
- 生地と中板のみだから、カチッという音が鳴らない
- 3秒以内にさっと逆台形に組み立てられる
- 折り畳んだ状態だと4センチほどと薄く、カバンにさっと入るし、お経の本と一緒に持って運んでも目立たない
- 商品説明によると、組み立てた状態の椅子の高さは15センチであり、座高が高くなって目立つこともないと思ったから
金属やバネを使って、高さを自由に変えられる正座椅子ってありますよね。
あれって便利そうに思えるけど、実際には座る高さなんて1種類あれば十分だし、器具のカチッと鳴る音が法事の席ではけっこう目立つから、あまりおすすめしない。お茶の席なら、もっと目立つでしょうね。
だから生地と中板のみのシンプルなタイプを選びました。
そしてシンプルなタイプだから、組み立てもあっという間です。買ってすぐの時は、どう展開したらいいのか分からなかったけども、今では2秒あれば組み立てられます。
で今から言うことがけっこう重要です。簡単に組み立てられるということは、簡単に折りたたむことができるということです。
慣れると立ち上がりながら、振り向きながら畳むことができます。これはお坊さんの私にとって、けっこうなプラスポイントでした。
逆三角形・逆台形というのもポイントです。
よくコの字型の正座椅子があるでしょう。
椅子の足が2つあって、安定性が抜群に思えるのですが、意外にあの椅子の両足の間に、自分の足を座りながら差し込むのが難しんですよ。それにコの字型の正座椅子は、一度足を差し込んで座ると、足を抜くのが難しくて、急には立ち上がれなくなります。
だから私は逆台形のタイプを選びました。
折りたたんだ状態が4センチほどと薄く、お経本と一緒に持っても目立たないのはすっごくいいポイントです。
折りたたみできない正座椅子は、持ち運びにくいですし、目立ってしまってあんまり気乗りしません。
椅子の高さが15センチと言うのも購入ポイントでした。正座椅子って座高が高いものが多い印象です。高さのあるタイプの方が、体の大きい人でも使いやすいからです。
でもお坊さんからすれば、座高が高いと、正座したときの頭の位置が高く、仏壇前に座っているお坊さん1人がすっごく目立ってしまいます。あまり高すぎない方がいいと思いました。
それら4つの理由を考えて、そして、お参りで使っていたいろんな人の正座用の椅子を試させて頂いて、シンプルで薄い逆三角形の折りたたみタイプを買いました。
じっくり考えて正座椅子を買ったのはいいのですが、冒頭の結論で言ったとおり、お坊さんに正座椅子が合わないことに、後から気がつきました。
お坊さんと正座椅子が合わない理由は2つです。
- 座布団が用意されていること
- 身動きがとりにくいこと
正座椅子ってそのまま使うものだったってことに、実際に使ってみてから気がつきました。
でも法事の時を思い出してほしいのですが、どの家でも必ず座布団をお坊さんに出したり、お仏壇の前に置きますよね。
座布団の上に正座椅子をおいて使うのは、変と言うか、難しいです。
正座椅子は畳の上に直置きして使うものでした。
お坊さんに出す座布団って、分厚かったりするでしょう。そこに正座椅子を置くと、けっこう沈んでしまいます。すると足を逆台形の間に挟むことが難しくて、両足で逆台形の正座椅子を支えるようになってしんどかったです。正座する時は別の筋肉を圧迫されて、足の痛みが取れるどころか、別の部分が痛くなりました。
もう一つあります。
お坊さんはお勤めの間に、何度か仏壇に手を伸ばしてお線香やおロウソクのお光を入れ替えたりします。でも着物の間に挟んだ正座椅子に座っていると、なかなか上手く体を持ち上げることができません。
正座椅子に腰かけている分、普段よりも頭の位置が高いため、ちょっと動作するだけで体が大きく揺れるので、ぎこちない動きがなにか格好悪いです。
せかっく家の方が、おもてなしでご用意して下さった座布団なのに、「正座椅子を使いたいので、座布団はいりません」というのもおかしいでしょ。
読経が終わって立ち上がったときに、座布団に正座椅子の型が残っているのも不格好だと思います。
そんな理由で、そもそも座布団を用意して下さっているお坊さんにとって、正座椅子は使い勝手が悪かったのです。
正座椅子は何もない、畳の上で使用して、楽に正座をするためのものでした。
これは正座椅子が悪いのではなく使う場面が良くなかったのです。例えば、お茶やお花といった座布団が用意されていない場合では、役に立つ道具だと思います。