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第145回目のラジオ配信。「蝋が垂れる」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川のお坊さん、私かっけいが、雑談のような短いおしゃべりをするラジオです。
今年の夏も暑いですね。
6月からお坊さんも夏の衣に衣替えしているのですが、こんなに暑いと、お仏壇やお墓でお勤めをすると、汗がダラダラと流れ落ちてきます。
流れ落ちるのはお坊さんの汗だけでなくて、夏にお仏壇でお勤めをしますと、ロウソクの蝋もぽたぽたと垂れ落ちてゆく光景をよく目にします。
2022年7月19日配信予定の今回は、夏に仏壇のロウソクが垂れる訳と、その対策についてお話していきます。
さて、まずは蝋が垂れる理由を先に言いますと、一定方向から風が吹いてくることが理由になります。
一定方向からの風というのは、エアコンや扇風機からの風の他、窓からの風といろんなものがあります。
そもそもなぜ蝋が垂れるかと言いますと、風が吹くことで炎が傾き、その炎が偏って蝋を熱することで、ロウソクの蝋を溶かしてしまうからです。
風が吹かなければ炎はまんべんなく蝋を熱するので、ロウソクのどこか一部だけが熱せられて、蝋が垂れるということは起きにくいのです。
それで風があることが蝋が垂れる理由なのですが、そうは言っても、夏は暑く熱中症になってはいけないので、エアコンや扇風機はつけますし、新型コロナウイルスが流行っている今日では、窓を開けての風通しもとっても大事ですよね。
そこでこれから、エアコンや扇風機の風はあるけども、ロウソクの蝋が垂れにくくなる方法について話していきます。
先ほどの蝋が垂れる理由で言いましたが、蝋が垂れるのは、一定方向から風が吹いてくるからです。
思い出してほしいのですが、お墓でロウソクを灯すとき、ロウソクが消えないように風よけを設置したりしますよね。でも風よけは完全に囲い覆っているわけではなく、部分的に空気が流れる出入口があって、ロウソクは常に揺らめいていますよね。でも揺らめいていても、蝋はなかなか溶けないでしょう。
あれはなぜかというと、いろんな方向から風が吹いているからです。
仏壇のロウソクが垂れるのは、エアコンや扇風機から常に同じような風が一定方向から吹いてくるためです。
であれば、それを解決するために、例えば、扇風機の首振り機能を使って、仏壇に流れる風の向きをたえず変化させればいいのです。扇風機によっては風が強まったり弱まったり止まったりと変化する「そよ風」や「おやすみ」といった機能があるので、その機能で、風を変化させるのも蝋が垂れにくくなります。
似たような理由で、エアコンであれば、サーキュレーターをつけて、風の流れを変化させることも挙げられます。ただサーキュレーターは扇風機よりも風が直線的にまっすぐ吹いてくるので、扇風機のやわらかな風と違い、ロウソクの炎が傾きやすくなるでしょう。
少し話がそれますが、仏壇のある部屋のどこにエアコンを設置すればいいですかと、聞かれることがあります。
仏壇の向かい側である部屋の反対位置に設置すると、エアコンの風が直にくるので、蝋が垂れる以前にロウソクに火を灯すことがむずかしくなるので、この場所は駄目ですが、それ以外でしたら、エアコンの風ってけっこう強烈で、どこに設置しても仏壇に風が吹いてくるので、あんまり設置する場所にこだわらなくてもOKです。
それを踏まえて仏壇にエアコンの風を送る場合、お勤めの間は、隣の部屋から冷たい風を送ることを私はおすすめしたいです。
仏間にあるエアコンの風は、ロウソクの炎を傾かせてしまいがちなので、隣の部屋のエアコンをつけて部屋を冷やし、サーキュレーターや扇風機を使って、仏間の空間も冷やしていただけたらなあと思います。
エアコンが仏間にしかない場合は、お勤めをする前にエアコンでしっかり部屋を冷やし、ロウソクをつけている間だけ、エアコンを消しておく手もあります。
一定方向から風が吹くことが蝋が垂れる原因なので、エアコンや扇風機の風を弱くするのでは、蝋が垂れるのは防げません。
もちろん風を弱くすれば炎の傾きが抑えられるので、多少は蝋が垂れにくくなりますが、けっきょく炎は傾いたままなので、エアコンや扇風機の風を弱めただけでは、蝋は垂れ続けます。
繰り返しますが、扇風機であれば首振り機能、あるいは強まったり弱まったりする止まったりする「そよ風」「おやすみ」機能を使います。エアコンであれば、サーキュレーターや扇風機を使ったり、隣の部屋から冷気を送ったりして、エアコンの風が直接仏壇に吹いてこないようにします。
続いて窓をあけた場合もお話します。
窓をあける場合は、扇風機やエアコンよりも蝋が垂れにくいように感じますが、それでも時によっては、仏壇のロウソクが垂れてしまいます。
原因はやっぱり風が一定方向から吹き続けて炎をかたよらせ続けるからです。
それでこの窓を開ける場合の解決方法は、二つあります。
一つは窓を開ける場合は、部屋の東西や南北のように対角線上に風を通すのではなく、建物全体のいろんなところの窓や扉をあけて、できるだけいろんな方向から風が通るようにします。
風の入る場所と出る場所を一つずつ作るのではなく、いろんな向きから風が吹き抜けられるようにすることで、蝋が垂れにくくなります。
もうひとつの方法は、窓を開けるのに加えて、扇風機を使うことです。首振りやそよ風の機能もあればあわせて使いましょう。
もう一度繰り返しますが、ロウソクの蝋が垂れるのは、一定方向の風が常に吹き、ろうそくの炎が傾き続け、蝋を溶かし垂らすためです。
窓を開けて扇風機を設置する場合は、風の流れに添うように風を送るのではなく、風の流れと逆になるようにだったりといろんな方向から風がふくようにしていきます。
さてどうでしょう。夏にロウソクの蝋が垂れる訳と、その対策方法が伝わりましたでしょうか。
ちなみに冬場は窓を開けることもないですし、扇風機やエアコンも使わないので、冬はあまり蝋を垂れる光景は目にしません。
仏壇のロウソクの蝋が溶けるのは、主に夏です。
部屋を涼しくしてお勤めしやすくしてくださるのは、とってもありがたいことです。
ですが、蝋が溶けますと、ろうそく台から蝋がこぼれ、後々掃除するのが大変になるのは目に見えますし、蝋が溶けますとロウソクの減りがかなり早くなります。
また意外に思われるかもしれませんが、部屋で発生するエアコンや扇風機の風の流れはかなり局所的なものです。仏壇にロウソクが一対、2つの間隔が30㎝ほどでも、片方はロウがどんどん垂れていき、もう片方は蝋がほとんど垂れないということもよく経験します。
二つ並んだ蝋燭の片方がどんどん垂れていく様子は、不格好ですし、法事であれば、お参りの人がどうしたらいいんだとざわざわとした雰囲気になります。
ロウソクの蝋が垂れないように、ふだんから、どんな向きにどんな場所に扇風機を設置して、どんな機能で風を送ったらいいのか、経験しておくことが大切です。
かっけいのラジオはここで終了します。来週もまた聞いてくださいな。
それと今回は紹介しませんでしたが、和ろうそくを使う方法もあります。
おそらく多くの人は仏壇のお参りでは洋ろうそくを使い、和ろうそくを使っていないでしょう。
和ろうそくは蝋が垂れにくいですし風が吹いても火は消えにくく、炎の揺らぎもきれいなので仏様参りの時におすすめしたいですが、一方で、火がついている状態で芯を切ることもあったり、火をつけるのが洋ろうそくよりも時間がかかったりと、慣れていないと扱いが少し難しいロウソクのように思います。
ですので、今回は、蝋が垂れないようにするために、洋ろうそくではなく、和ろうそくを使いましょうとはお話しませんでした。
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