Podcast: Play in new window | Download
Subscribe: Apple Podcasts | Spotify | Amazon Music | Youtube Music
第204回目のラジオ配信。「不耕起」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川のお坊さん、私かっけいが、短い雑談をするラジオです。
みなさんはどんな趣味を持っていますか?
どなたでも少なくとも一つは持っているんじゃないですか?
例えば音楽を聴いたり、インターネットでいろんなウェブサイトを見たり、テレビを見たり、食べ歩きだったりと、生活の中で色んな楽しみを持っているんじゃないですかね。
私の趣味の一つは、家庭菜園です。
家庭菜園、園芸、庭いじりは、日本人に一番人気の趣味らしく、私もこれに当てはまっています。
2023年10月10日配信の今回は、私の趣味、家庭菜園から「不耕起」について雑談していきます。
さて、家庭菜園の楽しみはなんでしょうか。
みなさん色んな楽しみ方があるんでしょうが、私の場合は、単に植物を育てるのが好きです。
それで私が家庭菜園をしている中で、こだわっていることがいくつかあって、その中の一つが、不耕起と言われる育て方です。
簡単に言えば、地面を耕さずにお野菜を育てることです。
畑を耕さないなんて言われると、な~んか変わったことをしているなあ、変人じゃないかと思われるかもしれませんが、畑を耕さないのは耕さないなりの理由があって、耕さないのも家庭菜園だからこその楽しみだと思うわけです。
そんなわけで、不耕起についてちょっと話していきますね。
さて、まず最初に、どうして私が畑を耕さないかという理由についてですが、理由は単純で、一番楽だからです。力がいらないからです。
私のところの畑はネバの土で、いわゆる粘土の土、田んぼのような土です。
雨が降っていない乾燥した状態だとカチカチガチガチで、雨が降るとねばねばドロドロの土の畑です。
こういったネバの土は、下手に地面を耕して、土をかき混ぜると、かき混ぜた直後は通気性が良くなってお野菜が良く育ちそうな畑の見た目になりますが、雨が降ってしばらくすると、水が染み込まなくなっていきます。
下手に耕すと、やがて土の中の空気の層が失われてしまうので、それならいっそ耕さない方が理に適っていると私は思います。
実際、ネバの土でも、自然の状態ならば、多少の雨が降っても水は地面に染み込みますし、土の表面はドロドロの粘土の状態にならないので、雨の日でも畑に入ることができます。
私のところの畑の性質を観察すると、そんなネバの土だったということに気がついたので、今では耕さないのがいいという判断になったわけです。
もちろんこれは私なりの考えであって、粘土の土であっても耕される方はかなり大勢いることでしょう。
そういった場合は、空気の層をできるだけ多く作るために、頻繁に土をかき混ぜたり、堆肥やもみ殻といった有機資材を大量に投入したり、細かく土を砕かないとかいろんな手間とお金を掛けていることだと思います。
ただ私の場合は、家庭菜園です。それでいて私の場合は植物を育てるのが単に好きなだけなので、そんながっつり、土地を物理的に改良して、お店に出荷するような立派なお野菜を作り上げようと考えてはいません。
あんまり手間をかけず、自分のところの畑のそのままの状態にあった育て方を考えると、耕さないのが楽だし、理に適っていると思ったわけです。
家庭菜園なので商売している訳じゃないので、上手くいかず失敗してもそれが楽しいですし、失敗を活かしてまた次のお野菜作りに励むことができるのが魅力ですよね。
それと私が家庭菜園をするにあたってこだわっていることがいくつかあって、手間をなるべくかけないことと、お金をなるべくかけないことがあります。不耕起とはあまり関係ないですが、農薬もほぼ使いません。
不耕起は、自然ではないですが、自然の状態に近い育て方だと思います。
家庭菜園の魅力はいろいろあるでしょうが、少ない労力で、新鮮で安全な野菜が食べられるというのも魅力の一つだと思います。
手間をかけ、お薬を使い、機械をつかったりするなら、極端なことを言えば、プロの農家が作ったお店で並んでいるお野菜を買って食べたらいいと思うわけです。
家庭菜園の場合、農家とは違う自分なりの方法でお野菜をつくれるのが楽しいわけです。それも農薬を使わずにです。
不耕起の私の場合、主に使っている道具はほんのちょっとです。香川ではスコップといわれる、長さ30cmほどの小型の土を掘りあげる道具と、手で刈る草刈りガマと、お野菜を収穫する時の鋏のこの3つだけです。
機械は一切使いません。
そんなに広い畑ではありませんから。
それでスコップを使うのは、苗を植える時だけで、普段畑に出る時は、草刈鎌だけをもっていきます。
言い忘れていましたが、私のところの畑は粘土のネバの土という性質だけでなく、畑一面にスギナやヤブガラシといった生命力旺盛な厄介な地下茎の草が生えています。
下手に土をかき混ぜてしまうと、スギナやヤブガラシなどが大量に広がって、勢力をさらに拡大させるので、極力、土を動かさないように注意しています。
もちろんスコップで植え穴を掘った時に、スギナやヤブガラシの根が出てきたらそれは取りますよ。
最低限の草の根は取りますが、それ以上のことをしないのが私のやり方です。
ずっとずっと前に畑の雑草があまりに酷かったので、防草シートを買って畑に敷いてみたことがありますが、スギナは防草シートを突き破ったり、わずかな隙間から地上に出てきたりしたので、今では新たに防草シートを買うことはなくなりました。
同じ理由でビニールマルチも雑草が無視して突き破ってくるのと、後片付けがたいへんなので、今ではもう使っていません。
種をまくときは、草刈り鎌を使って種をまく溝を作っています。
お野菜の根が良く伸びるようにと土を深く耕さなくても、お野菜も植物です。土を耕さなくても、根は伸びていくことが分かったので、今では私は耕していません。
ちなみに皆さんが気になる肝心のお野菜の取れる量ですが、おそらく、耕した場合よりも取れる量、収量は少ないことが多いと思います。
理由として、根の張り方は自然に任せているので、初期の成長が遅いことと、地面を耕さないので肥料を地面の中に混ぜ入れることができないからです。
ただ家庭菜園、趣味の範疇なので、お野菜はほんのちょっとでも取れたら嬉しいですし、そもそもお金を全くかけていないので、買うよりもずっと元は取れています。
今日のお話は私の趣味の話、家庭菜園から不耕起について話しました。
あまりする人がいないので、今日の話をここまで聞いてくれている人は少ないかもしれませんね。
私のやっている不耕起については、まだまだ全然言い足りていないですが、最後にもう一つだけお話しておきますね。
今回、私が不耕起の話をしているのは、皆さんに不耕起を勧めたいからではありません。
がっつり時間や労力やお金をかけてお野菜を作りたいなら、不耕起をやめて、園芸資材や農薬を買って世間一般に広まっている耕す野菜作りをした方が間違いないです。
ただ私の場合は、私の畑の性質と、趣味に対する私の付き合い方を考えると、耕さないお野菜作りが私にマッチしていたというわけです。
今日のお話では取りあげませんでしたが、耕さない育て方ではいろんな制約がついてきます。
作るのが難しいお野菜というのも相当出てきます。
しかしいろんな制約があるんですが、その中で、自分のところの畑にあった育て方を模索するのも趣味の家庭菜園、不耕起の魅力なんだと思います。
不耕起というのは、畑の性質、土地の環境、育てる人の性格など、いろんな要素がかみ合ってできることなので、私はあんまり皆さんにはお勧めできません。
私の作り方はけっこう変わっていて、肥料にお金をかけるのも嫌いなので、肥料としては発酵鶏糞のみを使っています。15㎏100円もしないようなやつで、年間の肥料代は200円ぐらいですかね。
堆肥も買ってきてまでは使いません。
家にコンポストがあるので、ごくたまに家でできた堆肥を利用する感じです。
お金をかけずに、手間をかけずに、あまり耕さずに育てるのが私にとっての趣味の野菜作りというわけです。
それでもお野菜がけっこう上手く作れるのは、それはそれでまた面白いなあと感じるところです。
以上、趣味の不耕起のお話でした。
いろんな工夫が試せるので、不耕起は本当に楽しいです。
「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。