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第229回目のラジオ配信。「お寺の法要の後」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。
先日の4月4日、自坊円龍寺の春の永代経法要が無事勤まりました。
法要が終わったあとは、はいそれで全部終わり。おしまいというわけではなくて、後片付けを含め寺ではいろんなことをしています。
今回のお話は、法要が終わったあと、私のお寺ではどんなことをしているのかを紹介します。
自坊円龍寺では、午後2時からお坊さんらによる読経が始まり、その後、布教使による法話があります。
4時前にお話が終わり、布教使の先生が退出し、住職の挨拶でお参りの皆様は自由解散をします。
その後にしていることのお話です。
なお、これは私一人がやっているのではなくて、複数の人が同時にやっていることです。
さて、お寺での法要が終わって、まず一番にすることは火の始末、本堂内の灯りを落としていくことです。
お寺の法要では、ロウソクがたくさん使われます。1本や2本ではありません。
またロウソクだけでなくお香や油も熱を持っています。
火の消し忘れがないように、法要が終わり次第、一番に火事の元になる本堂内の灯りを落としていきます。
火の始末は特に大事なことなので、主に住職が消しています。
私は何をしているかというと、お骨を納めているお堂でお勤めをしています。
午後4時に本堂での法要が終わるとお参りの皆様は自由に帰っていきますが、中には先祖の墓参りと、お骨をおさめたお堂に立ち寄られる人たちもいます。
そういったわけで、自坊円龍寺では、法要の後、お骨を納めているお堂で私かっけいがお勤めをしているわけです。
個別の納骨壇をお持ちの方は、それぞれお扉を開けていただいています。
その間、本堂では、先ほども言ったように住職が火の始末をしていたり、総代さんらが本堂の戸締りや帳場や椅子の片付けなどをしています。
ちなみに余談ですが、法要の後すぐには座布団を押し入れの中にしまいません。
これには理由があります。火事の防止のためです。
お焼香などによって、座布団の中にほんのわずかな熱が入ることがあります。
煙も火もたたないレベルなんですが、それが何時間もかけて少しずつ座布団の中でくすぶっていき、火がつくことがあります。
法要の後すぐに座布団を重ねて押し入れにしまうと、火事になる前触れに気がつきにくくなり、手遅れになるかもしれません。
今では本堂でタバコを吸う人はいませんが、タバコを吸う人が多くいた時代では、お寺の座布団を焦がすという例がよくありました。
そういったわけで、法要の後の座布団は、すぐに押し入れに片づけません。
これは一般ご家庭での法事でも言えることで、家で法事をした後は、一日は座布団をしまわずに出しっぱなしにした方が安心です。
ときどきひっくり返して、裏側が焦げていないか確認するのもいいですね。
話は戻ってお寺でしていることです。
住職は火の始末をしているといいましたね。
火の始末が終わると、すぐに布教使の先生にお礼のあいさつに行きます。
退席された布教使も黙っては帰れないですし、今日の御座のご法礼もお渡ししなければなりません。
住職が布教使の先生のもとに挨拶に行き、玄関までお見送りします。
住職が布教使のお礼とお見送りをしている間、本堂の戸締りなどを終えた総代らは、庫裏のお座敷に集まります。
円龍寺では法要の後、総代らが集まって話し合いをします。いわゆる総代会というものですね。
法要のときに帳場をつけて下さるのが総代なので、そのままの流れで総代会を開いているわけです。
円龍寺の法要の後では、総代や住職・坊守・若坊の私が、これまでの反省点や今後のことなどをいろいろと話し合っています。
それで総代さんらが帰るのはだいたい5時ちょっとすぎくらいでしょうか。
この後は、お供えのお下がりを配りに行きます。
お供えのお下がりというのは、仏さまの前にお供えしたお餅や果物やお菓子といったものをいただくということです。
お供え物のお下がりは永代経の懇志を付けてくださった方に法要が終わったあと急いで袋に詰めてその場でお渡しするのですが、永代経の懇志をつけてくださった方たちの中には、お寺の法要に来られていない方もいます。
その人たちに、今日お寺で永代経法要が勤まりました。これは仏さまからのお下がりですということで、その日のうちに家まで届けます。
永代経をつけられた方の他、いつもお寺の法要のたびに定期的に果物の箱やドリンク、お餅などを仏さまにして下さっている方たちにもお礼という形で届けています。
あまり日が暮れてから届けるのもどうかと思うので、総代会が終わり次第、坊守や住職がすぐに配りに行きます。
これで法要の直後にしていることはとりあえず終わりです。
残りは仏様周りの飾り布の片づけをします。私の宗派では破壇と言います。
本当は破壇は法要が終わるとその日のうちにするものなんですが、私のお寺では翌日にすることもあります。
理由は二つあって、万が一にも飾り布に熱が移っていて、畳んでしまった後に火がついては怖いからというのと、もう一つは、お花立があまりに重すぎて持ち上げるのが大変なので、一日たって少しでも持ち上げやすくなるのを待つためです。
なので私の寺では、法要の後、破壇をすることもあれば、一日たってからすることもあります。
以上が、お寺の法要の後でしていること、後片付けです。紹介したことをまとめますね。
- ロウソクなどの火の始末
- 戸締りや椅子の片付け
- 納骨場所でのお勤め
- 総代会
- お供えのお下がりの配達
- 飾り布の片付け
この他にも細かなことや、火の用心の見回りもしています。
お寺の法要があった日は、ロウソクやお香をたくさん使っているので、特に火事に注意しなければなりません。
またお金が多くあると思われるのか、泥棒に狙われやすい時でもあります。
そういったわけで、私の寺では、法要の終わったあとは、2・3時間おきに、本堂の内や外周りを歩いて見回って、火の気がないか、不審なことがないかチェックしています。
朝までの間、だいたい5・6回は見回っています。
ラジオでは話していませんが、仏旗を降ろしたり、お仏飯を下げるといったこともしています。
「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。